「資産運用の第一歩は余剰資金を作ることから」という話
もし、「資産運用を始めたいけど、まず何から始めればいいかわからない」という人がいた場合、私なら
「支出を見直して、余剰資金を作る」
とアドバイスする。
これは、「証券会社で口座を開設する」よりも先にやるべきだと思っている。
当然だが、資産運用とは余剰資金で行うものであり、決して生活費に手をつけてはいけない。
まずは月1万円の余剰資金を作ろう
例えば、
「毎月1万円の余剰資金を作って、積み立て投資を始めたい」
と考えた場合、
①毎月1万円の残業代を稼ぐ(収入を増やす)
②毎月1万円の節約をする(支出を減らす)
どちらの方が効率が良いだろうか?
どちらも、「手元に1万円が残る」ことは同じだが、支出を減らすほうが圧倒的に効率的だ。
額面で1万円分の残業代を稼いだとしても、収入は課税されるので手取りは減る。
しかし、節約して得た1万円には課税されない。
そもそも、私は時間的な自由を得るために資産運用をしているので、「投資資金を稼ぐために残業する」だと本末転倒である。
支出の見直しは即効性があることもメリットである。
そして、支出の見直しは、通信費や保険料などの「固定費」から始めると良い。
固定費は、初めに設定してしまえば、その後の手続きは不要で節約が継続される。(数年に1回程度の見直しは必要)
今回は、私たちの日常生活の中で、見直すことができる「通信費」「光熱費」「保険料」「自動車の維持費」の4つについて記載する。
通信費
携帯電話の回線で、3大キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)を使っている人は、格安スマホに乗り換えるだけで通信費を大幅に減らすことができる。
格安スマホとは「楽天モバイル」「ワイモバイル」「UQモバイル」「ラインモバイル」などである。
私も実践したので、その効果は後述。
保険料
・生命保険
生命保険は扶養家族がいなければ加入不要。
扶養家族がいる場合でも、遺族年金の受給額についてシュミレーションしてから加入を検討すると良い。
遺族年金とは、国民年金または厚生年金の被保険者が亡くなった時に、被保険者の配偶者や子など、被保険者によって生計を維持されていた遺族に支給される年金である。
・医療保険
医療保険はまず、傷病有給と傷病手当金の受給額をシュミレーションしてから加入を検討すると良い。
急な病気やケガにより働けなくなった場合でも、傷病有給と傷病手当金を使えば、ある程度の収入をカバーできる。
傷病有給とは、病気やケガにより、一時的に勤務不可能となった際に有給を使用して休める制度である。
傷病手当金とは、病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されるお金である。
日本は先進国の中でも賃金が低く、物価が高いが、社会保障は充実しており、それらを有効に利用すれば民間の生命保険や医療保険は不要だと私は思っている。
※個人の見解であり、民間保険の加入が必要かは、人それぞれのライフスタイルによります。
・家財保険
賃貸物件に住んでいる人で、賃貸借契約時に不動産会社から勧められた家財保険に加入している人は多いと思う。
賃貸物件の場合、「家財保険の加入必須」が契約の条件であることがほとんどだが、保険会社までは強制されないことが多い。
不動産会社から勧められる家財保険の保険料には、不動産会社に支払われる紹介料が含まれているので、自分で保険会社を選ぶことで、同じ補償内容のまま保険料を半額以上も安くできる場合がある。
光熱費
電力会社を変更するだけで、変更する前と同様に電気を使っていても電気代が安くなる場合がある。ガス代も同様だ。
また、電力会社やガス会社によっては、電気とガスのセットプランを契約すると、料金が割引され、支払いもひとつにまとめられるので手間が省ける。
どの電力会社にするかは、比較サイトで料金シュミレーションをして決めると良い。
自動車は必要か?
自動車を所有しているだけで、税金、保険、車検など毎年多くの維持費が支出される。
自動車は、経理上では資産に分類されるが、資産形成において、自動車を所有することは負債を抱えている状況とも言える。
「自宅や職場が駅から遠く、車がないと通えない」
という人や、
「家族を病院や学校などに送迎する習慣がある」
という人以外は、車は不要だと思う。
必要なときだけタクシーやレンタカーを使えばいいし、どうしても所有したいという方は、維持費の安い軽自動車でいい。
※車を生活のためではなく、趣味で所有している人は別です。私の父は高級外車に乗ることに生きがいを感じる人ですが、私はその趣味を否定したり、高価な維持費を無駄使いなどと思ったりはしません。
実際に支出の見直しをやってみた
今年に入ってから、固定費の見直しを実践した。
私は実家暮らしで、養う家族がいないこともあり、「家財保険」「生命保険」「光熱費」は払っていないため、「通信費」と「自動車」について見直しをした。
・ドコモから楽天モバイルへ
私は長らくドコモユーザーで、インターネットもドコモ光を使っていたが、今年から楽天モバイルに変更した。
楽天モバイル回線は、3ギガまでの通信量なら月額の基本料が1,078円で、通話料も無料である。(Rakuten Linkというアプリを使って通話する場合)
また、「楽天モバイル回線と楽天ひかりを同時契約すると、楽天ひかりが1年間無料」という期間限定キャンペーンをやっていたので、インターネット回線も楽天ひかりに切り替えた。
ドコモを使っていた頃は、月々約10,500円の通信費だったが、楽天に変えたことにより、1,078円になった。なんと約90%の削減だ。
これで、1年間で113,064円の余剰資金ができた。
今のところ、通信の品質や速度に関して、特に不便さを感じることはない。
・車を手放した
かつては自動車通勤をしていたのでコンパクトカーを所有しており、毎日乗っていたが、6年前に転職してからは電車通勤になったので、週1日程度しか乗らなくなった。
これまで計算したことは無かったが、今年の初めに、車に掛かる年間の費用を計算した。
自動車保険 34,060円
自動車税 34,500円
駐車料金 61,320円(月極で月額5,110円)
車検 約50,000円(車の状態により変動する)
ガソリン代 約16,000円
洗車代 約3,000円(ガソスタの洗車機を使っていた)
合計 約198,880円
週1日程度しか乗らない車に、これだけの費用が掛かっていたことに驚いた。
もし事故や違反をしたら、修理代や反則金や賠償金でさらに出費は増える。
よって、今年の1月に車を売却した。
新車から13年も所有したコンパクトカーの売却額は4万円だった。
自動車保険と月極駐車場も解約した。すでに支払った保険料と自動車税の一部は還付された。
車を手放したことで、移動手段は必然的に徒歩か自転車か電車になったが、特に不便さは感じないし、今のほうが健康にも地球環境にも良い。
なにより、交通事故の加害者になるリスクが減ったので、心もスッキリした。
通信費の見直しで113,064円の削減。
自動車の売却で198,880円の削減。
合計で年間311,944円も余剰資金を作ることができた。
この資金は全てインデックス投資に回す予定である。
その他の節約術
資産形成の準備は「固定費の見直し」だけでも十分だが、その他にも私が実践した節約を列挙する。
ネットから好きな自治体に納税することができ、その自治体から様々な返礼品を受け取ることができる。(実際には税金ではなく寄付金という名目)
納めた寄付金は、所定の手続きをすれば、翌年の税金が還付される。(手数料として2,000円が発生する)
返礼品は、お酒やスイーツなどの贅沢品よりも、水・米・トイレットペーパーなどの日用品を選んだほうが、出費の削減に直結する。
・コンビニと飲料自販機は利用しない
コンビニや自販機で売っている商品のほとんどは、スーパーの方が安い。
例えば500mlのお茶は、コンビニや自販機では140円程度だが、スーパーなら同じ商品が70円程度で買える。半額だ。
たった70円の節約と思われるかもしれないが、1日1本消費する場合、365日だと25,550円の節約になる。
・楽天経済圏で生活する
「楽天カード」「楽天銀行」「楽天証券」「楽天モバイル」「楽天ひかり」など、様々なサービスを楽天に統一することでRポイントの還元率が上がる。
ふるさと納税も「楽天市場」を利用することで、手数料の2,000円をポイントでカバーすることが可能だ。
各サービスを契約するだけでポイントがもらえるキャンペーンもあり、私は今年、「楽天カード」「楽天モバイル」「楽天ひかり」を契約したことで、32,000ポイントのRポイントを得ることができた。
・物は最後まで使う
家具、家電、衣類、文具など、新商品に目移りせず、いま持っている物を最後まで大切に使い切った方が、家計にも地球環境にも優しい。
余談だが、私は漫画のワンピースが好きで、ルフィたちが乗船ゴーイングメリー号とお別れするシーンが特に好きだ。
メリー号は冒険の途中で、破損と修理を繰り返し、もう次の島まで渡ることができないほどにギリギリまで使用されたあと、海底へと沈み、永遠の眠りについた。
ルフィたちのように、物は愛着を持って最後まで使うべきである。
節約は楽しく行おう
世間には、
「お金を使うことに喜びを感じる人」
もいれば、対象的に
「節約し、ジワジワと増える資産額を眺めることに喜びを感じる人」
もいる。
おそらく、前者が普通の人で、後者のほうが一般的には異常者かもしれないが、後者のほうが資産形成においては有利だ。
私は断然、後者だ。お金を使うことよりも、節約することの方が楽しいし、経済・株価・社会保障・保険・税金など、お金に関する勉強も楽しい。
節約するために極貧生活をするのではなく、「生活の満足度を下げずに余剰資金を作る」というチャレンジをすることで、学びながら楽しく継続することができる。
・収支を把握するため資産管理アプリを使う
一般的に、収入は給与という形で月に1回振り込まれることが多いので、収入は把握しやすいが、月々の支出を正確に把握しているという人は少ないと思う。
収支の管理に便利なのが、資産管理アプリだ。
メジャーなアプリは「マネーフォワード」「マネーツリー」「Zaim」などがあるが、私は全て試した結果、今はマネーフォワードのみを使用している。
クレジットカードや電子マネーと連携し、キャッシュレス決済すれば、いつ、いくら払ったかがひと目でわかるのでお勧めである。
終わり。
「投資を始めないこともリスク」という話
私の投資スタイルは主に、以下の3点である。
・つみたてNISAを満額(月33,333円)、全世界株に積み立て設定。
・iDeCoを最低額(月5,000円)、全世界株に積み立て設定。
・賞与など、さらに余剰資金があれば米国株のインデックスファンドを追加購入。
月々の収入から投資に回せる金額は人それぞれだが、資産形成においては、このように
・非課税制度を使ってインデックスファンドに積み立て設定
・さらに余剰資金があればインデックスファンドを追加購入
という方法でほぼ間違い無い。
・リスク資産の割合が95%を超えた
私は実家暮らしなので、収入のうち投資に回せる金額の割合は多い。
娯楽費用さえ無ければ、毎月30,000円程度で暮らすことができる。(通信費、食費、消耗品費のみ)
無駄遣いを防ぐため、給料日になると、最低限の生活費を給料口座に残して、あとは証券口座に移している。
気づけば、私の金融資産のうち、リスク資産の割合は95%を超えた。
※リスク資産…株式、投資信託、債権など、現金以外の金融資産のこと。
さすがにリスク資産95%は多すぎると思われるかもしれないが、私の場合は生活費が比較的少なくて済むことと、いざとなれば投資信託を現金化すれば資産比率を変えることもできるので、これで良いと思っている。
・株は損するからやめたほうがいい?
ある日、同居している両親と投資の話をした。
「資産の95%を米国株と全世界株で運用している」
と話したところ、母からこう言われた。
「株なんて損するリスクがあるから、働いて得たお金は大切に貯金しなさい」
“株は損をするリスクがある”は、確かにその通りだが、逆に「投資を始めないリスク」というものも存在する。
「リスクを恐れて投資しない」ということは、言い換えるなら「日本円に100%投資している」という状態である。
・「あのとき買っていれば」という例え話
こちらの画像を見て頂きたい。
引用:https://kabu.com/sp/item/foreign_stock/us_stock/column/5.html
これは、日経平均株価と、NYダウの30年間の値動きを示したグラフである。
アメリカ株の平均的な値動きを示すNYダウは、30年で約12倍に成長しており、2021年は過去最高値を更新した。
時折、リーマンショックやコロナショックにより大暴落を経験しているが、その後は数年間で回復している。
それに対し、日経平均株価は過去30年にわたって横ばいである。
もし、30年前に米国株のインデックスファンドを購入していれば、その資産は今、12倍になっていた。(管理手数料を考慮しない場合)
このように、投資の界隈でよく持ち出されるのが、
「あのとき、あの株を買っておけば、今ごろ○倍になった」
という話である。
例えば、ステーブ・ジョブズが初代iPhoneを発表した2007年1月9日に、もしアップルの株を100万円分買っていたら、今いくらになっていただろうか?
正解は、4,518万円だ。約45倍である。
「あのとき買っておけば良かった」などと過去を悔やんでも仕方ないが、未来は変えることができる。
日本円に100%投資しても、資産はおそらく増えない。
むしろ、物価の上昇とともに資産価値は減る。
アメリカ経済の未来がどうなっているかは誰にもわからないが、アメリカの経済が右肩上がりで成長してきたことは過去の歴史が示している。
・日本の賃金は上がっていない
続いて参照して頂きたいのが、先進国の賃金の推移を示したこちらのグラフである。
引用:https://fpcafe.jp/mocha/2784
先進国のほとんどが過去30年に渡って、右肩上がりで賃金が上昇している。
しかし、日本は30年前と比べて、平均賃金がほぼ横ばいである。
私自身、10年以上もサラリーマンを続けているが、賃料が上がらないことは身に染みて感じている。
私の賃金が上がらない理由は、私自身の能力や、会社からの評価が低いことが理由だと思っていたこともあった。(もちろんそれもあるだろう)
しかし、日本は国全体の経済が成長していないため、各企業が資金を守る姿勢に入っているということも、賃金が上がらない大きな要因である。
また、賃金は過去30年、上がっていないにもかかわらず、日本はこの30年間で、消費税、社会保障料、物価は上昇しており、普通預金の金利は下がっている。
実質的に、私たちの生活は貧しくなっているといえる。(もちろん、テクノロジーの発達により豊かになっている面もあるが)
これらの現実を踏まえ、
「日本においては、給与所得だけで資産形成しようと思っても、一生お金持ちにはなれない。」
と考えるようになった。
やはり、資産形成をするなら、
「毎月、余剰資金を米国株(もしくは全世界株)に長期間インデックス投資する」
が正解であるという結論に達した。
余談ではあるが、私の親世代が現役バリバリで働いていた1980年代末期から1990年代初頭は、日本の景気がバブルで、定期預金の年利は6%もあった。
この利回りをほぼノーリスクの定期預金で実現できたことは、今では考えられないことである。
バブル景気を経験している母が「株なんて損するリスクがあるから、働いて得たお金は大切に貯金しなさい」と言ったこともうなずける。
(ただ、そろそろ価値観をアップデートして欲しいとは思う。今は2022年だ。)
・投資を始めるには今が一番いい
よく「株は買うタイミングが難しい」という悩みを聞く。
暴落したときに底値で買うことができれば理想的だが、いつ暴落するか、また、どこが底値なのかは誰にもわからない。
しかし、インデックス投資は10年や20年という長期間で行うことが前提なので、短期的な暴落は気にしなくていい。
誰しも「今が人生で最も長く投資ができる時」なので、資産形成に興味のある方には、すぐに始めることをオススメする。
終わり。
※この記事は私の経験と考えをまとめたものであり、すべての方に投資を推奨するものではありません。この通りに実践しても損をする可能性は十分にあります。
インデックス投資を始めた話
前回の記事の続きです。
最初は40銘柄以上の優待株に投資していたが、次々に届く株主優待券に消費が追いつかなくなってしまったため、優待目的の投資を辞め、インデックス投資に切り替えることにした。
インデックス投資とは、日経平均株価や、NYダウ平均株価など、市場全体の値動きを目指した投資である。
全米株や、全世界株など、幅広く分散された商品を含む投資信託を購入すれば、年間の利回り5%は目指せるそうだ。※もちろん減る場合もある。
そう思い立ったのが2020年のこと。
さっそく、優待株をほぼすべて売却し、「インデックスファンド」と呼ばれる投資信託を買うことにした。
しかし、インデックスファンドにも数多くの種類があり、どれを買えばいいのかわからない。
投資の基本は、「長期・分散」だと思っていたので、なるべく多くの投資信託を少しずつ購入することにした。
過去のチャートを見て、なるべく右肩上がりの投資信託を50銘柄ほど選び、10万~50万円ずつ購入した。
それから2年間、それらを放置した。
幸いなことに、2021年は米国株がバブルだった。
米国株の全体的な値動きを示す「NYダウ」は、2021年に19%も上昇した。
「なんとなく上がりそう」という基準で選んだ50銘柄だったが、その中にも多くの米国株が含まれていたようで、私もこのバブルの恩恵を受けることができた。
わずか1年間で、私の保有していた投資信託は、全体で200万円以上も上昇した。
特に「S&P500」という商品は1年間で27%も上昇した。
やはり、インデックス投資は間違いではなかった。
※もちろん下がっていた可能性も十分にあった。
しかし2022年に入り、ふと気づいたことがあった。それは、
「自分の資産なのに、自分が何に投資しているのかがわからない」
ということだ。
本来、投資とは「自分が応援したい企業に投資する」「これから伸びそうな業界に投資する」という基準で行うべきである。
「なんとなく上がりそうだから」という基準で選び、資産を分散しすぎた結果、自分の保有している投資信託が、どんな資産で構成されているのかを全く知らないまま保有し続けていた。
改めて、自分の保有している投資信託について、ひとつづつ調べたところ、
「日本株」「米国株」「国際債権」「世界の不動産」「原油」「純金」 など、様々な資産が含まれていた。
また、異なる商品名でも、中身は全く同じものがあることも知った。
例えば、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」と「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」は、運用している会社が違うだけで、中身は同じ「全米株」である。
中身が同じということは、チャートもほぼ同じ動きをするため、それぞれに投資しても分散効果は無い。
勉強不足だった。
もっと投資先を吟味しなければと思った。
様々な投資信託を比較検討した結果、「S&P500」という商品に決めた。
S&P500とは、アメリカの主要な500社の株で構成された商品である。
アメリカの経済は右肩上がりで成長し続けている。
時折、リーマンショックやコロナショックなどのタイミングで株価は大暴落しているが、数年後には回復している。
それに対して、日経平均株価は過去30年間にわたって横ばいだ。
よって、S&P500に集中投資することに決めた。
これだけで、アメリカの500社に投資していることになるので、これ1本でも充分に分散投資はできていることを学んだ。
「債権」「原油」「純金」などの投資信託をほぼすべて売却し、「S&P500」1本に資産を集約した。
また、「つみたてNISA」と「iDeCo」も開設した。どちらも国が用意した節税制度である。
「つみたてNISA」は、運用益が最長で20年間、非課税になる制度だ。(通常は運用益に2割程度の税金がかかる)
「iDeCo」とは個人型年金で、運用益が非課税になるだけでなく、掛け金が全額所得控除の対象となり、所得税と住民税の節税になる。
iDeCoは60歳まで現金化できないうえ、口座の開設がとても面倒というデメリットがあるので、万人にはお勧めできないが、つみたてNISAは開設も簡単で、途中で辞めることもできるので、とりあえず投資を始めたいという人にはお勧めしたい。(でも途中で辞めることはお勧めしない)
「つみたてNISA」と「iDeCo」で積み立てる商品は「全世界株式」を選んだ。
理由は、つみたてNISAは20年後の資産を作ることを目的としており、iDeCoは老後の資産を作ることを目的としているからだ。
現在はアメリカが世界最大の経済大国だが、20年後もアメリカ1強とは限らない。
また、私は日本人なので、日本企業に一切投資をしない(=日本経済に期待しない)というのも、いかがなものかと思ったからである。
全世界株式には日本株も含まれているので、これで日本経済にも貢献することができた。
これで資産運用の方向性が定まった。
「つみたてNISAとiDeCoで全世界株式に積み立て投資し、さらに余剰資金で米国株にインデックス投資」
これを長期的に続けることに決めた。
終わり。
株主優待券を目的に投資したら逆に生活が不自由になった話
大学を卒業し、就職してからも実家を出ず、平凡なサラリーマンとしてコツコツと貯金を続けていた私は、30代を迎える頃には貯金が大きな金額になっていた。
この貯金をすべて普通預金に眠らせるのはもったいないと考えるようになった。
昨今、普通預金の金利は0.001%程度だ。この金利だと、仮に1000万円を銀行に預けたとしても、1年後の利息はわずか100円だ。
よし、資産運用にチャレンジしよう。と思った。
そう思いたったのが、2017年のことだ。
3年後には東京オリンピックの開催が決定しており、インバウンドの経済効果も期待できるので、投資をするには絶好の機会だと思った。
株式投資についてネットで調べたところ、株式投資のコツは「長期・分散」だという。
なるべく多くの金融商品を長期的に保有することで、リスクを分散させることができるという情報を得た。
さらに、「株主優待制度」という、日本独自の制度も興味深いと思った。
一部の企業は、株主に対して優待制度を設けている。
自社製品を贈答したり、運営施設での買い物券や食事券、入場券などを提供したりと、様々な企業の優待サービスにも魅力を感じた。
早速、証券口座を開設し、自分の興味のある優待株をいくつか買った。
マクドナルド、丸亀製麺、すかいらーく等、飲食チェーンを中心に、自分の好きな企業を基準に選んだ。
私はディズニーランドも大好きなので、施設を運営するオリエンタルランドの株も買った。
それからというもの、企業から定期的に優待券が届くようになった。
優待券を使って好きなレストランで食事したり、施設を利用したりできることに感動と楽しさを感じた。
調子に乗った私は、さらに多くの優待株を購入した。
吉野家、鳥貴族、出前館、幸楽苑、不二家、コメダ珈琲、ビックカメラなど、保有銘柄は次々と増えていき、投資を始めてから3年程度で、40銘柄以上の優待株を買った。
当初は、様々なレストランで食事したり、施設を利用したりできることに楽しさを感じていたが、次第にその感情は薄れていった。
優待株を多く保有しすぎたことで、それを管理する手間が増えたり、消費が追いつかなくなったりしていった。
全ての株主優待券には有効期限があり、期限までに使わなければただの紙切れになってしまう。実際に、使わないまま期限切れになってしまうこともあった。
優待券が期限切れにならないよう、スマホのスケジュール機能で、優待券の種類と期限を管理し、期限の近い物から使うようにした。
使いきれないものは、金券ショップで売ったり、家族に譲ったりもした。
時には、「今はラーメンを食べたい気分だけど、ステーキ屋の優待券の期限が近いから、ステーキを食べよう。ちょっと重たいけど」などと、自分の意向とは違う行動をとらなければならないこともあった。
基本的に外食はハイカロリーのものが多いので、体重が少し増えてしまい、健康にも影響が出てしまった。
優待券が次々と届くことに苦痛を感じることがあった。
そんな生活を3年近く続け、ある時ふと気づいた。
「時間的、経済的な自由を得るために投資を始めたつもりだったが、投資をすることで逆に不自由を感じている。」
私にとって、「時間的、経済的な自由」とは、「食べたいものを食べる」「好きなものを買う」「やりたいことをやる」「やりたくないことはやらない」ということである。
株主優待券を使うために奔走する生活は、逆に「株主優待券に使われている」という状況になっていた。これでは本末転倒だ。
ある日、株主優待券を使ってラーメンを食べたことがあった。
そのラーメンは優待券により無料で食べることができたが、その株は5万円の含み損を抱えていたので、
「高けぇラーメンだな!!」
と思った(笑)
また、優待サービスは企業の意向により、突然廃止されてしまうこともある。
実際に、出前館の株は購入した後に優待サービスが廃止された。
優待目的の投資は疲れるし、リスクも多い。
資産運用の方法を考え直さなければならないと反省した。
もっと簡単な資産運用の方法は無いだろうかと調べたところ「インデックス投資」という方法を知った。
インデックス投資とは、日経平均株価や、NYダウ平均株価など、市場全体の値動きを目指した投資である。
全米株や、全世界株など、幅広く分散された商品を含む投資信託を購入すれば、年間の利回り5%は目指せるそうだ。※もちろん減る場合もある。
私の保有していた株の優待利回りは2~4%程度のものが多く、5%を超えるものは少ない。
優待株に投資するより、インデックス投資の方が効率的だと考え、保有している個別株をほぼすべて売却し、インデックス投資に切り替えた。
それから、株主優待券が送られてくることは無くなった。
精神的な負担がなくなり、とてもスッキリした気持ちになった。
株主優待券の消費に奔走した数年間を過ごしたが、この期間でも良いことはあった。
優待株ばかりで構成されたポートフォリオだったが、分散投資はやはり効果があったようで、総合的に運用益は大きくプラスだった。特にオリエンタルランドの株は買ってから3倍近くも上昇し、驚いた。
また、優待券がきっかけで、普段は行けないような施設や飲食店に行くことができた。
アミューズという芸能プロダクションの優待券で、今はもう閉館してしまった「東京ワンピースタワー」に行くことができた。
ルフィたちの魅せるショーはとてもクオリティが高く、原作ファンの私も大満足のショーだった。
オリエンタルランドの優待券で毎年ディズニーランドに行くこともできた。
コロナ禍にも負けず、笑顔で接客するキャストたちの姿に胸を打たれた。
このように、最初からインデックス投資をしていたら得られなかったであろう「楽しい経験」をたくさん得ることができた。
気に入った飲食店も何軒か出来たので、今度は自分のお金で、行きたいタイミングで利用したいと思う。
終わり。